丹生酒殿神社(にうさかどのじんじゃ)は、和歌山県伊都郡かつらぎ町三谷に鎮座する神社。
高野山の麓の紀の川のほとりに位置し、境内社の鎌八幡宮は御神木に鎌を奉献(刺し)し願掛けをする信仰があります。
また高野参詣道の一つの「三谷坂」の起点であることでも知られています。
またこちらには大銀杏がありシーズンになると境内いっぱいに黄色の絨毯で敷き詰められライトアップもされます。
所在地 | 〒649-7133 和歌山県伊都郡かつらぎ町三谷631 |
TEL | 0736-22-3146 |
営業時間 | |
アクセス | 和歌山ICから約40分 |
駐車場 | あり |
ホームページ | http://www.wakayama-jinjacho.or.jp/jdb/sys/user/GetWjtTbl.php?JinjyaNo=4027 |
丹生酒殿神社・鎌八幡宮
丹生酒殿神社は平安時代中期にこの場所に建てられたとされていて、丹生都比賣大神という高野山を守護する女神を祀っています。
丹生酒殿神社は、峠を越えたところにある丹生都比売神社へ続く三谷坂という険しい参詣道の起点です。
太古の昔、崇神天皇(または応神天皇)の時代、神社の榊山に天照大神の妹神・丹生都比売が初めて榊を手にして、地上に降りたった場所と言われています。
所説ありますが、丹生酒殿神社は日本で最初に神々に酒を捧げた神社の一つだとされています。
社殿の裏にある鎌八幡宮は明治42年、兄井から移され、イチイガシの大木をご神木とし、祈願成就のため鎌を打ち込んだことからこの名があります。祈願成就のときは鎌が幹に食い込んでいくが、不成就のときは脱け落ちると伝承されています。今は御神木を守るために、鎌を打ち付けるのは禁止されており、代わりに絵馬が用意されています。
文化元年(1804)世界で初めて乳がんの手術に成功した華岡青洲の石燈籠が境内にあり、天保5年(1834)74歳の時に寄進したものとのこと。
樹齢300年 境内にそびえ立つ金色の大銀杏
大イチョウは樹齢300年以上、幹周り526センチ、高さ25メートル、枝張り20メートル。
神社が周辺集落よりやや小高い場所にあるため、近くを流れる紀の川の堤防沿いの道からも見ることができます。イチョウの根元には「境内を黄に敷きつめて大いちょう」と刻まれた句碑が建っています。
例年イチョウの見頃の11月中旬~12月初旬(2023年は11月12日~12月16日)の日没から22時まで、同社の大イチョウのライトアップが実施されます。ライトに照らされた大イチョウの姿は妖艶で幻想的。12月初旬には、葉が散って境内一面が葉っぱで黄色に染まります。
丹生酒殿神社と鎌八幡宮と空海さんのお話
このお話は弘法大師空海さんが高野山を開いた頃の時代です。
JR和歌山線の妙寺駅から南へ500mのところに紀の川があります。
川を渡ると三谷、兄井という在所があります。ここが舞台です。
三谷には丹生酒殿神社があります。境内には銀杏の大木があります。
天照大神の妹神の丹生都姫がご祭神。榊を両手で持ち胸にあて、ゆっくりと天から神社の裏山に降臨されました。
近くに三谷小学校があります。明治時代には臨降小学校と呼ばれていました。
さて、丹生酒殿神社の裏手には鎌八幡宮というお宮があります。
大木に無数の鎌が打ち込まれています。願いのかなうカマはすいこまれ、かなわないカマは落とされてしまいます。
ある日のこと紀ノ川の上空を飛んでくる幡がありました。紀の川べりの松の木に引っかかりました。ハタと止まりました。それはそれは立派な旗でした。その後、今度は大きな白い竜が大きな口から火を噴きながら紀ノ川を上ってきました。あまりの恐ろしさに村人たちはちりじりに逃げてしまいましたが、大畑の鬼五郎次郎という村人がしっかりと見届けていました。火を吹く竜はだんだんと小さくなって、やがて熊手に変身してしまいました。
兄井村の神主がこの熊手を引き取り神社の木に立てかけておきました。ある日のこと、農作業をしていた村人がカマを木に打ち付けて休憩をしていました。再び作業にかかろうとしてカマを抜こうとするのですが、どうしても引き抜くことができませんでした。
この話を聞きつけた高野山の僧侶はきっと霊験のあるものだと幡と熊手を高野山に持って行きました。
この幡と熊手は神功皇后が三韓征伐の時のお守りとして持って行った物で讃岐の屏風ヶ浦の神社に祭られていた物であることがわかりました。讃岐生まれの弘法大師空海さんを慕ってやってきたものでした。
幡と熊手を高野山行人方のお守りとして、幡と熊手を担いで山内の寺を巡る、巡寺八幡と言う儀式を明治まで行ってきました。
明治の初め神仏分離令からいろんな変遷を経て、巡り巡って幡と熊手は丹生酒殿神社に戻されました。
幡は行方不明ですが、熊手は鎌八幡宮のご神体として神社に祀られています。巡寺八幡の様子が描かれているへ扁額が拝殿にかかっています。幡の引っかかった松を幡掛け松といって、松のあったところには石碑が建てられています。鎌を打ち付けて願いをける鎌八幡宮の大木はイチイガシで赤さびたカマや真新しいカマが突き刺さっています。